ジョン・ウィック: チャプター4 感想 (ネタバレあり)
2, 3ともちろんオモロかったんだけど、みてる最中は心拍数300でブチあがるが、喉元過ぎると「延々キアヌ・リーブスが痛めつけられるだけデショ」みたいなテンションになってしまう ただ元気ない時に特に1作目や、2のルビー・ローズ活躍シーンを見返すと非常に元気がでる そんな過去の己をブチのめしたいぐらい爆アガって帰ってきた
ナメてたので公開日すらハズしてしまっていた(日光にいたので仕方ないが) 暗殺世界紀行という大まかな構成はそのままで、今回はヨルダン => 大阪 => NY(ちょっとだけ) => ベルリン => パリというロケーション 170分あって(どうせ予告編とかがなげーんでしょ、とおもってたら本編詰め込み詰め込みで駐車券の無料分を使い果たしていて出口で驚いた)、防弾のスーツ(特殊部隊のスーツみたいな感じではなく)というフィクション要素がありつつも、それにしたってこの3時間の間に一体何回車に轢かれたんだ、とか、アパートの4階あたりから飛び降りても平気という無敵具合のリアリティラインだと集中が削げるというか、興味が持続しなくなりがちだが、そこはさすがの87イレブンの底力でとにかくやりてえアクション全部やる!!という気概を感じた ヨルダンはまーた馬かよとはおもったが、引きのショットで砂漠で馬駆ってんのすげーなとおもった
手前のシーンで「エーーーーッ!!ドニー・イェンがまた盲人なんすけどーーーー!!」ってブチあがってたらまさかの大阪では真田広之が待ち構えてて、いや嬉しいんだけど、なんつーか世界(もといアメリカ)に打って出れるアジア人ってやっぱりこういうメンツになっちゃうんですかあ、とやや肩を落としたり(1mmぐらい) ....んだけど、真田広之の娘役の人がちょーよくて、エンドロールでリナ・サワヤマさんというそうだがそんなに長くないシーンでもきっちり真田広之とちゃんと父娘っぽい感じを出せてたり、殺陣のキレもめちゃめちゃよくてすげーーーー!!と あとチンピラたちがバックヤードで呑んでるところでヒップホップっぽい曲かかってんなとおもってエンドロールみてたら HUNGER だった いっこだけ言うとしたら梅田の地下鉄はそんなかなあ、ってのとあんまり日本にはそういう座席がぺったりの電車って走ってなくない?あとアキラは手負いでウィックを追ってきてよく改札抜けてたどり着いたね....とかまあ重箱です ベルリンでは存在が仄めかされていたルスカ・ロマがお目見えして、クラブで巨漢オーナーとファイトし続けるという 客に当たると危ないからなのか、ベルリンはそこまで銃社会じゃないということなのか、セキュリティが揃いも揃って手斧なのがなんか間抜けで笑っちゃった
巨漢に突き落とされるシーン、スタントだったとしてもどうやって撮ってんの??という落ち方してて劇場で素で声でてしまった
パリでは侯爵と決闘するためにサクレクール寺院へ向かうというリニアな話なんだけど、もう見せ場見せ場の見せ場ラッシュで、凱旋門のシーンもどうやって撮ってんのコレ???だったし、アパートの戦闘はこれみよがしに俯瞰ショットでワンカットで至るところから押し寄せるパリのチンピラたちを火がつく12ゲージ?みたいなやつでバカスカ撃ち返していくのが見事すぎて惚れ惚れした 極めつけは寺院手前の階段シーンで、何回階段落ちんだよ!!とか、さすがに実時間でもう3分経ってません??とかいろいろツッコミどころはあったけど、もうドニー・イェンとコンビで階段を駆け上がっていくってもうその構図だけで最高です!!!!ありがとうございました!!!!!!ってなった
シリーズを通して人間が無敵になっていったが、犬も無敵になっていって結局劇中ではずっとノーバディだった奴が連れてた犬(シェパード?)が無敵になっちゃって轢かれても平気という傍若無人ぷりで笑った 劇中無敵のウィックにはハラハラしないけど、人間キアヌ・リーブスがヨタヨタ階段登ってる方にハラハラしちゃった
どうやら首席と呼ばれる地位の人々がアウトローとなってしまったウィックに怖気付いて侯爵(マーキー)を冠する人に権限を明け渡してしまったらしい、とのことで 告知人?にも散々咎められてたけど、そもそもニューヨーク爆破する必要あった?大阪でドンパチする必要あった?って感じだし、物語メタ的にももうちょい整理したら90分に収められるだろこの話....って並の映画にはおもうけど、そこはもうキアヌ・リーブスの座頭市オマージュから何から、もうやりたいこと全部やってくーださ〜い!と首席連合の首席たち同様にお手上げだった だしまあ、最初にウィックの犬をぶちのめしたチンピラ、てめーのせいでむちゃくちゃ人が死んじまったぞ!なんてことを!!などと
ベルリンでポーカーやるくだりとか、侯爵と決闘のスタイルを決めるのにルールが謎のタロットみたいなのやったりとか、並の映画だったら削れ削れ!って言っちゃいそうだけど、ケレンつーのはこういうことですよ、と擁護したくなっちゃうぐらい、もうずっとこの世界に浸っていたい〜〜っていう
もはやセルフオマージュなのか、パリでその型のマスタング乗ってる奴いるのかよ!!って感じではあるが「さあ!」と言わんばかりに扉をブチ壊して乗ってるキアヌをみやすくしてくれる優しさ演出 劇中で侯爵って呼ばれてる奴がいるってことはつまり公爵もいて王もいるのではー?シリーズまだまだ続くゾイ!を期待してたんだけど、さすがにここいらでってことなのか死んじゃって素直にびっくりした まあ、地下に王はいるからなあ
ドニー・イェンが真田広之の娘に「俺を追ってこい!」ってのは暗殺者流の励まし方(生きる目的を与える的な)なのかなあ、とチラっとおもったけど、しっかり報いを受けたウィック同様ケインも娘には会えず終いというビターな終わり
こんだけスタイリッシュに、カッコよく暴力を描いてはいるけれど、結局のところ暴力ではなんも解決しないんだよっていう究極の反暴力映画なのかなともふとおもった 仁義なき戦いや、アウトレイジなんかでもそれぞれ組の思惑の絡み合って暴力がエスカレートしていくけど、突き詰めれば暴力が暴力を生む負の連鎖を描いているだけで、ジョン・ウィックシリーズもジョナサンが墓に入って改めて、それぞれ1作目、2作目....と最後はタイマン勝負して勝ってスッとしてる自分がいたけど、そのスッは一過性のもので、結局暴力を暴力で解決してしまうとやっぱり暴力として返ってくるんだということなのかなと しかし.....そういう世界だったとしても、大事なのはルール、掟、契約なんかじゃなくて友情やブラザーフッドなどというとチンケに感じるけど、シリーズを深めるにつけそういう傾向が強まったようにおもう
そこに関しては自分はそこそこ同意(もちろん「それはダメだよ」というのも友情のカタチかもしれないけど、ダチがすげー困ってて、多少イリーガルそうな行為が介在するかもしれないが、自分が一肌脱げば解決するんなら一線は越えられる.....とおもう、たぶん)だが、やはりそれだけだとただの無法状態自然状態になってしまうのでルールは必要だよねえ......という玉虫色野郎
極めつけはウィンストンの最後のセリフで「ジョナサン」「ウィンストン」と互いを呼びあっていたが、墓碑を前に "My Son" と母国語で語りかける
実際に血縁関係であったのか(ならば叔父がベルリンにいることを知っているのも納得ではある)、精神的な師弟関係というか、主従関係でということなのかはオープンなんだろうとおもう
このシリーズはカッコいい字幕演出のお陰で各国語が入り乱れて話されるところが本当によくて、キアヌのたどたどしい日本語の感じからして、ドニー・イェンと中国語を喋ってたのもネイティブからしてみたら違和感あるのかもしれないが、それにしてもベルリンではロシア語とドイツ語が入り乱れるし、エンドロールをみてると恐らく日本語話者のスタント役者のためのコーディネーターなんかが入ってやってたっぽい雰囲気を感じたので実際プロダクションにおいても多言語だったのかなあ、と類推する IMAX でみたんだけど、妙にバスが効いてた印象で、のっけの板殴りシーンの時点でそんなデカい音鳴るか??みたいな鳴りしてたが、170分劇伴もバスすごいしアクションもすごくて体力的にも結構もっていかれた パンフ買うぞ〜!とおもったらもう売り切れててざんねん(しばらくパンフ探しの旅をする) ところで、ランス・レディックさんは長らく FRINGE の人という印象でいたけどコンチネンタルのコンシェルジュはめちゃくちゃ当たり役感があって、コンチネンタルを軸にスピンオフやるみたいな話もあった?ような気がする(ドラマ版が配信されてる?)が、いろいろな殺し屋をこれからも見守っていってほしいなあ....とおもっていた矢先の訃報でまあまあ悲しみの気持ちももちつつ劇場へ足を運んだのだった.... 多少なり活躍するのかなと期待したが、最期は忠君としてウィンストンへの見せしめに殺されてしまった....
あの犬殺しチンピラのせいで.......